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はじめに

予測市場のPolymarketは、2024年アメリカ大統領選挙で暗号空間の注目の的になりました。Bloombergのターミナルにデータソースとして掲載され、トランプ自身が「Polypoll」について言及するなど、Polymarketは一般の意識に浸透し始めています。しかし、すべての注目が好意的なわけではなく、Independent紙はPolymarketを「民主主義への脅威」と呼び、Fortune誌は「偽の」ウォッシュトレード活動について報じています。

この記事ははオンチェーンデータプラットフォームDuneで働くオンチェーンデータアナリストの文章です。彼は1か月間、Polymarketのデータを研究し、理解し、変換することに費やしてきました。この記事では、Polymarketに対する操作の主張が真実であるかどうかの評価を紹介します。

まず、Polymarketを理解しましょう

Polymarketは、Polygonネットワーク上で動作する分散型予測市場であり、ユーザーが選挙、スポーツ、金融といった現実の結果に賭けることができます。2020年の立ち上げ以来、ユーザーが「YES」や「NO」の結果に株を買い、価格が各結果の予想確率を反映するという独自の構造が人気を集めています。Polymarketの主な強みは透明性とオープンデータにあり、Polygonというパブリックブロックチェーンを決済層として使用しているため、すべての取引とトランザクションがオンチェーンで完全に検証可能です。誰でもPolymarketの決済ロジックを管理するスマートコントラクトとやりとりする個々の取引を確認することができます。

Polymarketの仕組み

Polymarketは2種類の市場形式で運営されています：バイナリーアウトカム市場とネガティブリスク（「ネグリスク」）市場です。

バイナリーアウトカム市場では、ユーザーが「YES」または「NO」の2つの可能な結果に賭けを行います。ユーザーがいずれかの結果の株を購入することで、その結果が実現するという見解に賭けていることになります。株の価格は、賭けが増えるとともに調整され、各結果の予想確率を反映します。

例えば、「バイデンは任期を全うするか？」というPolymarketでの人気市場があります。ユーザーは「YES」の株を88セントで購入することができ、バイデンが任期を全うすれば最終的に1ドルになります。逆に、バイデンが任期を全うしないと考える人は「NO」の株を12セントで購入でき、彼が途中で退任すればこれも1ドルに決済されます。この仕組みによって、参加者は期待に基づいて金銭的なポジションを取ることができ、イベントが進展するにつれて価格は集合的な感情を反映するように調整されます。

バイナリーアウトカム市場には、複数の可能性があるイベント、例えば大統領選挙のような「1人の候補者しか勝たない」状況に対応する柔軟性が欠けています。そのため、Polymarketは「ネグリスク市場」を開発しました。これは、ある結果「YES」と賭けると自動的に他のすべてに「NO」と賭けることを意味する構造です。この革新により、ユーザーは複雑な複数結果のイベントに効率的に賭けることができ、単純なバイナリー以上に予測市場の範囲が広がります。この構成では、市場内の各オプションがそれ自体でバイナリーとして定義されており、例えば「YESトランプ」または「NOトランプ」となります。ある候補者（例えば、トランプ）に「YES」と賭けることは、他のすべての候補者に「NO」と賭けることと同じ意味になります。この市場構造は、1人の明確な勝者を決定できる範囲のイベントに賭けることができるようにしています。

大統領選挙市場はその好例であり、このサイクルでPolymarketでは17人の候補者の株が取引されました。参加者は、カニエからミシェル・オバマまで、さまざまな人物が次の大統領になる可能性に賭けました。

市場の動向を評価する方法

取引量は重要ではない理由 Polymarketは、なぜか株の取引量（しかも株の価値ではなく）をウェブサイトのトップに表示する指標として選びました。現在、取引量は28億ドルと非常に大きくなっていますが、取引量は「虚栄の指標」に過ぎません。Polymarketには手数料がなく、取引活動がシステム内のアクティビティの指標にはなりますが、意図的であれ副産物であれ、膨らませるのが簡単すぎるため、重要な指標としては見なせません。
見るべき指標は「建玉」 Polymarketにおける建玉は、現在どの市場の結果に賭けられている金額を示します。プラットフォームの全体の建玉は現在約4億5000万ドルで、そのうち2億5000万ドルが大統領選挙に賭けられています。建玉は個人のポジションで構成され、ポジションは、金融における伝統的な「ポジション」と同様に、トレーダーが買った株式の量と、現在評価されている価格の2つの部分で構成される。例えば、あるトレーダーがトランプ「YES」の50株を保有しており、それらの価格が現在62セントの場合、そのトレーダーの建玉の価値は31ドルです。